フルオキセチン(プロザック)


こころの安定に深くかかわる「セロトニン」の働きを高める医薬品「フルオキセチン」について解説しているページです。服用したときの効果や副作用のほか、問題視されている点にもふれています。

 

 

フルオキセチン(プロザック)とは?

脳内のセロトニンの働きを高める作用のある薬で、ジェネリック医薬品も存在しています。しかし、日本では未承認の処方箋医薬品で、保険調剤での販売は行われていません。
イーライ・リリー社が米国で承認を受けた薬品「プロザック」が代表的で、SSRI「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」とよばれます。
プロザックは「初めてのSSRI薬」として1988年に販売を開始。日本では発売されていませんが、同じ有効成分の「デプロメール」は、別の製薬会社から販売されています。
「抗うつ剤を服用したときのような重い副作用がない」と、販売をきっかけに人気となり、世界中で広く服用されるようになりました。中枢神経系のセロトニン受容体だけに選択的に作用し、セロトニンの働きを高めます。

フルオキセチンの効果

気分を明るくする

神経伝達物質であるセロトニン濃度を増やすことで、明るい気持ちになります。アメリカでは「ハッピードラッグ」とも呼ばれている薬です。また、セロトニンには意欲を高める効果があるため、やる気が起きないなど症状の軽いうつ状態にも効果的です。
脳内のセロトニンは人間の精神面にかかわる神経伝達物質。セロトニン濃度が増えると気分が安定して楽になるため、海外ではうつ病やパニック障害、社会不安障害などの治療で広く使用されています。

不安な気持ちを落ち着かせる

人前に出ると緊張感が高まり、発汗や震え、めまいなどを感じる「社会不安障害」、突然強い不安や動悸、発汗、手足の震えが起きる「パニック障害」の不安な気持ちからくる症状を改善してくれます。
また、強迫観念から無意味な行動をとる強迫性障害、過食や拒食を繰り返してしまう摂食障害の治療薬としても使われます。これらの病気は潜在的な不安感が引き起こすとも言われており、セロトニンを働かせて不安な気持ちを落ち着かせることで、症状が改善していきます。

フルオキセチンの作用機序

セロトニンの「再取り込み」を防ぐ

フルオキセチンが持っているのは、セロトニンそのものを直接増やす作用ではありません。いったん放出されたセロトニンの一部が、吸収されて戻ろうとするのを防ぐための薬です。
脳の神経回路「シナプス」に放出されてセロトニン受容体が受け取らなかったセロトニンは、再び神経前後末へ取り込まれようとします。その際に「セロトニントランスポーター」をブロックすることで結果的にセロトニンの量を増やし、働きを強化できるという仕組みです。

ノルアドレナリンを機能させる

うつ病は、セロトニンの機能不全だけではなくノルアドレナリンの働きが不調に陥ることでも起こる病気です。
セロトニンには、ノルアドレナリンの作用を調整する働きがあります。
セロトニンの再取り込みを防いで働きをよくすることで、ノルアドレナリンの機能が正常化。
結果的に症状が改善していきます。これまでに、ノルアドレナリンに関与する神経の異常興奮が原因とされる「パニック障害」の改善も確認されています。

フルオキセチンの副作用

消化器症状

吐き気や嘔吐、便秘、下痢、食欲不振、口渇がみられることがあります。服用初期にあらわれることが多く、2~3週間前後で軽減・消失するとされています。

神経系症状

めまい、ふらつき、頭痛や眠気などの症状のほか、意志とは無関係に手足や眼が動く(不随意運動)ことがあります。服用時には、車の運転や機械の操作などは避ける必要があるでしょう。

性機能障害

勃起障害、射精障害といった性機能障害があらわれることがあります。

セロトニン症候群

SSRIを服用した際にあらわれる特徴的な症状として、不安やイライラ、混乱する、興奮することがあります。中には衝動的に他人を攻撃したり自死しようとしたりする事例も報告されています。普段とちがうと感じたら速やかに医師へ報告し、適切な処置を受けなくてはなりません。

フルオキセチンの問題

日本では未承認のフルオキセチンですが、同じような作用機序でセロトニンを増やすSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は数多くあります。
月経前症候群などの治療にも使われることもあり、日本でも100万人以上が服用しているといわれるほど、SSRIは身近にある医薬品です。
しかし、簡単に手に入るからといって、安易に飲みはじめるのは問題かもしれません。SSRIをめぐっては、さまざまな問題点が浮かび上がってきているからです。

重い離脱症状

SSRIを服用している間は副作用がみられなくても、薬を減らしたりやめたりしようとすると「離脱症状」があらわれることがあります。
フルオキセチンは、一般のSSRIに比べて離脱症状が起きにくいとされていますが、全く起こらないとうわけではありません。
服用をやめると、頻脈やめまい、頭痛などの症状があらわれるのが特徴です。中には急に不安が強くなり、衝動的な行動に走ることもあります。いったん服用したら自己判断でやめず、医師と相談しながら徐々に減らしていかなくてはなりません。

安易な服用に注意

フルオキセチンをはじめとしたSSRIは、他の抗うつ剤よりも有害作用が少ないことから、一般医でも扱いやすい抗うつ剤として日本でも処方が増加しています。
しかし、欧米では自殺や自殺行為、攻撃性などの衝動性亢進が見られる人が多発。
その多くがSSRI服用経験者というデータがあり、社会的問題にもなっています。
また、常用量を服用しても胎児に問題が起きたり、性機能障害を抱えたりする人が多いという報告も増えてきました。
理論上は「影響が少ない」と言われても、SSRIを実際に服用して、どこにどう作用するかは個人によって異なるのです。

SSRIの「影の部分」を認識したうえで助けを借りるは個人の自由ですが、薬物に頼る前に、心理療法的なアプローチ、適度な運動など、セロトニンを増やす方法は他にもあります。まずは様々な方法を試してからでも遅くないかもしれません。

 

 


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

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