7.呼吸法とセロトニン


セロトニンを活性化させるための身近な方法として、腹式呼吸が注目されています。
ここでは、なぜ腹式呼吸がセロトニンを増やすことにつながるのかをご紹介していますが、まずは呼吸法ではどのような効果が期待できるのかを知っておきましょう。例えば、「自律神経のバランスを整える」「リラックス効果が生まれる」といったものがありますが、実はヨガや禅の呼吸法も腹式呼吸が基本となっています。
さらに、「丹田呼吸法」と「大の字呼吸法」の2種類の呼吸法についてやり方をご紹介。それぞれの呼吸法にはどのような効果が期待できるのかもご紹介していますので、呼吸方法を取り入れたいと考えている方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

呼吸法で得られる効果とは

強いストレスを感じて緊張した状態が続くと、呼吸は無意識に浅くなっています。
気持ちを落ち着かせたいときに深呼吸をしたり、嫌なことがあったときに「ため息」が出てしまったりするのは、ストレスを解消しようとする自然な体のサインです。深く呼吸を行うことで気持ちが安定し、ストレスが軽減されていきます。

自律神経のバランスを整える

心臓や胃腸が常に活動している私たちの体。
これは「交感神経」「副交感神経」とよばれる自律神経がコントロールしていて、自分の意思で動かしたり止めたりすることはできません。
ですが唯一、意識的にコントロールできるのが呼吸です。
普段、息を吐くときは副交感神経が優位になり、息を吸うときは交感神経が優位にはたらいています。
腹式呼吸で息を長く吐き出すことによって副交感神経が高まり、交感神経に傾いていた自律神経のバランスを徐々に整えることができます。

リラックス効果が生まれる

腹式呼吸によって副交感神経の働きが活発になると生まれるのが、リラックス効果です。リラックスした状態が続くことで、ストレスが軽減されます。
息を吐くことを意識した「腹式呼吸」をお勧めします。

ヨガや禅の基本も腹式呼吸

「吐ききる」ことを意識して行うヨガや禅(ZEN)の呼吸法も、腹式呼吸が基本です。
ヨガや禅を行うと頭がスッキリしたりリラックスしたりする感覚を得られるのは、腹式呼吸によるによる「リズム運動」でセロトニンの分泌が活性化しているからです。
腹式呼吸は、吸う息に対して吐く息を2倍の長さにするのがコツです。

丹田呼吸法

丹田とはおへその下3寸あたりの部分のことで、中国医学から由来している言葉です。
丹田に近い下腹部を意識して呼吸する方法を「丹田呼吸法」といい、前部前頭前野やセロトニン神経を活性化することが臨床試験で明らかになっています。

参照元:臨床神経学雑誌第52巻第11号:有田 秀穂「丹田呼吸法は前部前頭前野とセロトニン神経を活性化する」
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/52/11/52_1279/_pdf)

丹田呼吸法のやり方

準備

リラックスした状態で呼吸できるよう、椅子などに座って楽な姿勢で行うか、仰向けに寝た状態で行いましょう。パジャマやルームウエアなどのゆったりした服装がベストです。ベルトをしている方は、少しゆるめます。

まずは息を吐ききる

肛門を閉めるようにしながら腹筋に力を入れ、10~15秒かけてゆっくりと息を吐ききります。お腹の空気をすべて外に出すことをイメージしながら行いましょう。

反動で息を吸う

息を吐ききったら、腹筋をゆるめて自然に息を吸います。慣れるまでは、お腹に手を当ててふくらむのを感じながら行うのがコツ。吐くときよりも短い時間でOKです。息を吐くときは12~15秒、吸うときは2~3秒を意識して呼吸を繰り返します。腹式呼吸に慣れてきたら、息を吐く時間をどんどん長くしていきましょう。

毎日行うのがおすすめ

イライラしたり、不安な気持ちになったりしたときに行うだけでも効果を感じられますが、自律神経を整えながらセロトニンの分泌を促すために、1日5分間で良いので毎日続けてみることをおすすめします。疲れがたまっている時にもスッキリした気分になりますので、いつでも積極的に行ってみてください。

呼吸に集中することが大切

丹田呼吸法を行うときは、他のことは考えずに呼吸に集中することが大切です。お腹のふくらみやへこみを意識しながら、落ち着いて呼吸することでリラックス効果が高まります。呼吸に慣れるまでの間、息を吐き出す時間を数えてみるのも集中力アップにつながります。

大の字呼吸法

腹式呼吸にどうしても慣れない、お腹を膨らませる意識が難しいという方におすすめなのが「大の字呼吸法」です。ヨガでは、やすらぎのポーズ「シャヴァ・アーサナ」とも言われており、リラックス効果があります。
自律神経を整える、セロトニン分泌を促すなどの検証は行われていませんが、心と体がやすらぎ、自然と眠りを誘ってくれます。夜なかなか寝付けないという方にもおすすめです。

大の字呼吸法のやり方

仰向けに寝て足を肩幅よりも広めに開き、脇と腕の間にすき間ができるように軽く両手を広げ、手の平を天井に向けます。鼻から息を吐いて目を閉じ、全身から力を抜きましょう。眉間の力や奥歯の噛みしめをゆるめます。吐く息ごとに床に体が沈み込んでいくイメージを浮かべながら意識を遠ざけていきます。

 

 


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

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