エストロゲンとセロトニンの関係とは?


「なんとなく不安に襲われる」「ついイライラしてしまう」そんな方は、性格が原因ではないかもしれません。エストロゲンが減少すると「うつ」のような症状を引き起こすことがあり、セロトニンの分泌とも深い関わりがあります。ここでは、エストロゲンとセロトニンの関係性についてまとめました。

 

 

エストロゲンとは

女性ホルモンのひとつ

エストロゲンは女性ホルモンのひとつで「卵胞ホルモン」とも呼ばれます。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、エストロゲンは月経後から排卵期までの「卵胞期」に分泌されるホルモンです。

卵胞期にエストロゲンが分泌されると、気分が安定し、体が軽く感じられたり肌や髪の調子が良いと感じたりします。肌に潤いがあり女性としての美しさが増すため、気持ちも前向きになると言われています。

体調の変化に深くかかわる

女性のからだは、ホルモンバランスの変化によって「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経」の4段階に分かれており、体調や心のバランスに大きく影響しています。
エストロゲンは排卵期に向けて急激に増え、月経期に向けて減り始めます。エストロゲンはごくわずかな量で作用するため、ちょっとした分泌量の変化や乱れでもさまざまな不調につながるおそれがあるのです。

月経周期に伴うエストロゲンの変動

エストロゲンが減少する生理前には、疲れやすい、体調が優れない、気持ちが不安定になるなど、さまざまな問題を引き起こします。
生理前の不安やイライラ、体調不良などの症状をPMS(月経前症候群)といい、日常生活にさしつかえるほど重い症状を持つ女性もいます。

加齢とともに減少する

エストロゲンは思春期から20代をピークに分泌量が最も多く、加齢とともに卵巣の働きが低下してくると、徐々に減少していきます。女性が更年期に不調を抱える方が多いのも、エストロゲンの低下によるものです。

とくに閉経の前後5年間はエストロゲンの分泌が急激に低下するといわれており、体調に変化が起こりやすくなります。
閉経を終えて老年期になると、エストロゲンの分泌はごくわずかに。エストロゲンで守られていた肝臓や血管、骨などの器官にも影響を及ぼします。

エストロゲンが減るとセロトニンも減る

エストロゲンが出ている間はセロトニン神経を刺激する働きがあるため、女性の生理周期はセロトニンの生成にも深く関わっているとされています。
そのため、生理周期や加齢などが影響してエストロゲンの分泌が低下すると、それに伴ってセロトニン神経機能も低下。体内のセロトニン濃度も低下してしまいます。

生理前のPMS、セロトニン不足かも

エストロゲンが活発に出ている「卵胞期」を過ぎ、排卵後の「黄体期」に入ると、セロトニン神経が不活化するため、セロトニンが不足しやすくなります。
生理前に思わずしてしまうこんな行動や症状は、セロトニン不足によるものかもしれません。

つい甘いものを食べてしまう

セロトニンが不足して心が不安定になると、食欲の抑制がきかなくなり過食に走ろうとしてしまうことがあります。

特に甘いものを食べたくなるのですが、デザートに含まれる砂糖ではなくブドウ糖が重要なのです。ブドウ糖は、セロトニンの材料の一つである「トリプトファン」を脳内に優先的に運んでくれるため、セロトニンが不足した脳がブドウ糖を要求するので、甘いものが食べたいと誤認識してしまうのです。
ブドウ糖は炭水化物を消化して作られる物質なので、バランスのいい食事が重要になります。

生理前は脳内のセロトニン分泌量が低下している状態です。無性に甘いものを食べたくなる方は、セロトニンが不足しているのかもしれません。

イライラする、やる気が低下する

ささいな出来事にイライラしたり突然怒りが込み上げてきたり。感情のコントロールが難しくなるのも、エストロゲンの減少とともにセロトニンが不足しているために起こっているのかもしれません。普段ならサクサク終わる仕事や作業がだるい、やる気が起きないのもセロトニン不足が起因している可能性があります。

セロトニンとエストロゲンをうまくコントロールする

普段からセロトニンを増やしておくことで、エストロゲンの減少とともにセロトニンが急激に低下してしまうのを防ぎます。セロトニンを増やす行動を生活に取り入れて、ホルモンバランスの変化と上手に付き合っていきましょう。

適度な運動

運動はセロトニン神経を刺激して、セロトニンの生成を促します。無理のない範囲で運動する習慣をつけましょう。ウォーキングやヨガなど、呼吸やリズムに合わせてできる運動がおすすめです。
運動する時間がないという方は「咀嚼」によってリズムを整えるのもOK。ガムを噛む、固い食材を選ぶなど、咀嚼を意識するだけでも体に良い影響を与えます。

日光をしっかり浴びる

セロトニンは日光の刺激によって分泌されます。日中はしっかりと太陽の光を浴びましょう。とくに朝日を浴びると体内時計が整い、セロトニンが分泌されやすくなります。
日光浴が難しいという方は、起きたらすぐに部屋のカーテンを開けて室内に日光を取り入れるだけでも効果があります。

トリプトファンを摂取する

セロトニンの原料となる「トリプトファン」が含まれた食品を積極的に食べるようにしましょう。トリプトファンが多く含まれているのは玄米やバナナ、チーズ、卵、豆腐など。炭水化物やビタミンBと一緒に、バランスよく摂ると効果が高まります。

良質な睡眠をとる

夜のうちにメラトニンという睡眠ホルモンがしっかりと出ていると、日中のセロトニン分泌量が高まります。メラトニンは暗くなると分泌されるので、夜はスマホなどの強い光をなるべく避け、自然な眠りにつけるようにしましょう。ラベンダーやローマンカモミール、マジョラムなどのアロマはリラックス効果があり、寝つきを良くするのでおすすめです。

大豆イソフラボンには注意

大豆などに多く含まれるイソフラボンは化学構造がエストロゲンと似ているため、体内でもエストロゲンと似たような働きをします。
エストロゲンが減少しているときにイソフラボンを摂ると、生理前のPMSや更年期障害の諸症状が改善される可能性はあります。しかし、イソフラボンの過剰な摂取は本来のエストロゲンの正しい働きを阻害する可能性があると言われていますのでサプリなどを飲む際は注意が必要です。

セロトニン活性でエストロゲンの減少を乗り切る

エストロゲンの減少は、生理周期によるホルモンバランスの変化や年齢によって、女性なら少なからず誰にでも起こるものです。
普段からセロトニンを活性化させてエストロゲンによる影響を少なくしておけば、エストロゲンの減少自体は防げませんが、エストロゲン減少による生理前や更年期の心や体の不調を防ぐことにもつながるでしょう。
エストロゲンの減少に負けないからだづくりのために、生理周期とともにセロトニンにも目を向けて毎日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

 


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

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