メラトニンとセロトニンの関係とは?


「寝つきが悪い」「夜中に何度も目がさめる…」「体がだるくて、朝スッキリと起きられない…」「異常に朝早く起きてしまう」
こんな症状に悩む方は、体内の「メラトニン」が不足しているのかもしれません。
メラトニンはセロトニンとも深いかかわりのあるホルモン物質で、不足してしまうとさまざまな問題を引き起こすおそれがあります。
ここでは、メラトニンとセロトニンの関係性についてまとめました。

 

 

メラトニンとは

別名「睡眠ホルモン」

メラトニンとは、脳の松果体(しょうかたい)という部分から分泌されるホルモンです。
別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、眠りを誘う作用に関係しています。

本来メラトニンの分泌は、光によってうまく調節されています。
人間の体は、朝になって光を浴びると体内時計の針がすすみ、活動状態に導かれます。
このとき、脳はメラトニンの分泌を止めるよう指令を出しています。

それから14~16時間ほど経つと、再びメラトニンを分泌するように脳が働きかけるとよく言われていますが、メラトニンは太陽が沈み、網膜が暗さを感知すると、脳の松果体で脳内に蓄えられたセロトニンからメラトニンが作られ、分泌されます。
夜になると自然と眠くなってくるのは、メラトニンが正常に分泌されているためです。

健康維持に大切な成分

メラトニンは睡眠にかかわるだけでなく、体全体の健康を維持するためにも必要なホルモンです。
メラトニンが不足して体内時計の乱れが続き、慢性的に睡眠の質が下がると、体にさまざまな影響を及ぼします。
睡眠障害やうつ病を引き起こすおそれがあるほか、糖尿病や高血圧、心疾患などの生活習慣病になるリスクも高めます。

また、最近の研究では、メラトニンは脳にとって記憶を維持する機能にも欠かせない物質ということが分かってきました。
認知症を患っている人は、同じ年齢の健康な人に比べてメラトニン濃度が低いことが発見されています。

体内時計がうまく働いて夜の間にメラトニンが分泌されるのは、心身ともに健康な生活を送る上で必要不可欠なのです。

加齢とともに減少する

メラトニンは、年齢とともに分泌量が減っていくことが分かっています。
生まれたばかりの赤ちゃんにはメラトニンの分泌はありません。1歳からメラトニンの分泌が始まり3歳から55にかけて増えつづけます。そして17歳から18歳をピークにメラトニンは減少していくため大人になるとセロトニン神経を鍛え、メラトニンの分泌を増やす生活が必要になるのです。
年をとると早く目覚めたり夜中に何度も起きたりしてしまうのは、若いころよりもメラトニンの分泌が低下しているためです。加齢により体内時計の調節機能が弱くなってきているのが原因とされています。

セロトニンはメラトニンの原料

セロトニンとメラトニンはどちらも脳内ホルモンですが、主にセロトニンは昼、メラトニンは夜につくられる物質です。
本来、人間は昼間の明るいうちに活動して、日没とともに休むというサイクルのもとに体内時計が働いています。
メラトニンは、その体内時計の概日リズム(サーカディアンリズム)を調整する役割を担っています。メラトニンが不足してしまうと、このサーカディアンリズムがうまく機能しなくなり、昼になってもセロトニンが分泌されなくなってしまうのです。

また、夜の間に分泌されるメラトニンは、セロトニンを原料としてつくられます。
脳内でセロトニンが不足すると「うつ」になりやすいとされていますが、うつ病の方の多くが睡眠障害を抱えているのが実情です。
これは、セロトニンの分泌が低下しているためにメラトニンもつくられなくなっているため。
結果的に「寝つきが悪い」「よく眠れない」といった症状を引き起こしてしまいます。

セロトニンが低下するとメラトニン分泌に影響する、メラトニンがつくられないと日中のセロトニン分泌が低下する、というように、メラトニンとセロトニンは互いに密接な関係にあるのです。

セロトニンとメラトニンをうまくコントロールする

セロトニンとメラトニンは、健康的な生活を送る上でどちらも脳に欠かせない物質です。
昼はセロトニン、夜はメラトニンをうまく分泌させることで、体内時計が正常に機能し、生活リズムや体調が整っていきます。

日中のセロトニン分泌を高める

夜の間にメラトニンがつくられて体をしっかりと休めるためには、日中のセロトニン分泌を高めておくことが大切です。セロトニン分泌を高めるための行動や習慣を身につけて、メラトニンができやすい体をつくりましょう。

日光を浴びる

日中セロトニンがうまく分泌されるには、太陽の光が大切です。セロトニンを分泌させるには、2,500ルクス以上の強い光が必要とされています。
蛍光灯などの部屋の明かりでは不十分ですので、必ず太陽の光を浴びましょう。
起きてから30分以内、15~30分ほど浴びるのがポイント。日光浴が難しいという方は、カーテンを開けて部屋の中に日光を取り入れるだけでも構いません。太陽光は、雨の日でも1万ルクス以上の明るさがあります。朝の日射しをしっかりと取り入れましょう。

食べ物から摂取する

セロトニンの原料となる「トリプトファン」が含まれた食べ物をとることもおすすめです。朝食でトリプトファンをとると、日中のセロトニン分泌が上がりやすくなります。トリプトファンが含まれるのはバナナや牛乳、チーズ、卵、鶏肉や牛肉、大豆製品など。ぜひ毎朝の食事に取り入れてみてください。

テレビやスマホの光に注意

夜遅くまで光が目に入ることで刺激となり、夜のメラトニン分泌が抑えられてしまいます。夜中までパソコンやテレビ、スマホを見る習慣のある方は要注意。とくにブルーライトは刺激が強いため、夜中の使用はおすすめできません。どうしてもスマホが手放せないという方は、ブルーライトカット機能を設定しておきましょう。

適度な運動をする

運動で体をしっかりと動かしておくと、セロトニン神経系を活性化させます。運動不足と感じている方は、ウォーキングなどの軽い運動でも良いので習慣にしてみましょう。とくに朝の散歩やウォーキングは、日光浴にもつながるのでおすすめです。

メラトニンと付き合うカギはセロトニン活性化!

日中のセロトニンを活性化させることで、夜のメラトニンをしっかりと分泌させ、体内時計やサーカディアンリズムが整っていきます。
メラトニンの原料はセロトニンということを覚えておいて、セロトニンがつくられやすい体づくりをしていきましょう。

 

 


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

目次