ノルアドレナリンとセロトニンの関係とは?


「ノルアドレナリン」や「アドレナリン」という言葉を一度は耳にしたことがある人は多くても、そのちがいや効果について知っている人は少ないのではないでしょうか?
ここでは、ノルアドレナリンの基礎知識や効果、幸せホルモン「セロトニン」との関係性についてまとめています。

 

 

ノルアドレナリンとは

「闘争と逃走」をつかさどる物質

ノルアドレナリンとは、チロシンというアミノ酸からつくられる物質の一種で、セロトニンやドーパミンといった、脳内の情報伝達に欠かせない「三大神経伝達物質」のひとつです。
セロトニンが安らぎや充足感をつかさどる、ドーパミンが快感や意欲をつかさどる物質であるのに対し、ノルアドレナリンは体の緊張感や危機感にかかわっています。
危機やストレスを感じたとき、瞬間的に体を「戦闘モード」にしたり回避行動をとったりすることから「闘争と逃走(fight or flight)」をつかさどる物質とも言われており、分泌によって緊張や不安を与え、集中力や積極性をもたらして、ストレスに打ち勝とうという反応が起こります。このとき、心拍数や血圧を上げる作用もはたらきます。

アドレナリンとのちがいは?

アドレナリンはノルアドレナリンの一部が変化してできた物質で、同じアミンというアミノ酸からできています。体を興奮状態にし、心拍数を上げる点ではノルアドレナリンと同じですが、つくられる所や作用する場所がちがいます。

アドレナリンとは、前駆体であるノルアドレナリンなどが交感神経に作用し、交感神経が優位になった時に副腎髄質から分泌される神経伝達物質の1つです。アドレナリンを「脳内麻薬」という呼び方をする時もあります。

ノルアドレナリンは主に中枢神経系で生成されるのに対し、アドレナリンは主に、腎臓近くの副腎髄質で生成される物質です。
ノルアドレナリンが自律神経に働きかけて心拍数を上げたり血液量を増やしたりするのに対し、アドレナリンは心臓の収縮力を高めて心拍数や血糖値を上げ、活動しやすい状態をつくります。

ノルアドレナリンの効果

記憶力を向上させる

ノルアドレナリンの作用によって、記憶力が向上することが分かっています。これは脳が「体が危機的状況にあるから、しっかりと学習しよう」と働くから。ノルアドレナリンが分泌されている間は、通常よりも記憶力が研ぎ澄まされます。

情報処理のスピードを上げる

ノルアドレナリンが分泌されると脳の前頭分野が活性化され、情報処理に必要な情報を短時間だけ記憶しようとする能力が上がります。一度にたくさんの情報を処理できるようになり、人との会話や文章をすばやく理解するなど、思考力のスピードが向上します。

集中力を高める

ノルアドレナリンは緊張感や危機感をもたらし、行動に駆り立てる働きをすることから、一時的に爆発的な集中力をもたらします。残り時間が少ないなど、危機的な状況下でノルアドレナリンが分泌されると仕事や勉強のパフォーマンスが上がることも。追い詰められたときに出る「火事場の馬鹿力」も、ノルアドレナリンによる作用と考えられています。

セロトニンはノルアドレナリンをコントロールしている

ノルアドレナリンが不足すると脳の働きが低下し、無気力になりやる気が失われていまいます。反対に、増えすぎてしまうと自分を追い込み過ぎ、ストレスを抱えてしまいます。心身のバランスを安定させるには、ノルアドレナリンが適度に分泌されているかが大切です。
このノルアドレナリンをコントロールしているのがセロトニンです。セロトニンは、ノルアドレナリンが不足したり過剰に分泌したりするのを防ぐはたらきをします。

セロトニンとノルアドレナリンをうまくコントロールする

体内のセロトニンが不足しているとノルアドレナリンの制御が難しくなり、ノルアドレナリンが増えすぎてイライラする、怒りっぽくなってしまうことがあります。
気持ちを安定させ、ストレスからのダメージを減らすには、ノルアドレナリンとセロトニン、それぞれのバランスが大切です。
ここでは、セロトニンとノルアドレナリンが適度に分泌できるような行動や習慣をまとめました。ぜひ実践してみてください。

適度な運動をする

運動によって脳に刺激を与えることによって、ノルアドレナリンの分泌を促すことができます。なわとびやジョギングなど、一定のリズムが生まれる「リズム運動」や、自分が楽しいと思える運動を続けることがおすすめです。
とくにリズム運動を行うと、セロトニンも活性化されます。運動が苦手な方や外出が難しい場合には、ガムを噛む、一定リズムで呼吸を行うのも効果的。短時間でもできることからはじめて、まずは習慣化を目指して取り組んでみましょう。

大豆製品を多くとる

豆腐や納豆、きな粉などの大豆を使った製品を積極的に摂るのもおすすめです。大豆には、レシチンやチロシン、トリプトファンという栄養素が多く含まれています。チロシンはノルアドレナリンをつくり、トリプトファンはセロトニンのもとになる栄養素です。
つまり、食事に大豆製品を取り入れることで、セロトニンとノルアドレナリンの生成に関わる両方の栄養素を効率的に摂取できます。

セロトニンを活かすカギはノルアドレナリン!

ノルアドレナリンが作用して体がストレスに打ち勝とうとするとき、セロトニンが深くかかわって大切な役割を果たしてくれることが分かりました。
セロトニン活性によって心を安定させたい、やる気を引き出したいと考えている方は、ぜひノルアドレナリンにも注目して食生活や生活習慣を送ってみてください。

 

 


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

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