セロトニンと筋肉の関係性とは?


筋トレなどの筋肉を使う運動をした後に「何だかスッキリした」という経験はありませんか?
筋トレをすると、ドーパミンやテストステロンといった脳内ホルモンのほか、「幸せホルモン」のひとつ、セロトニンも分泌されることが分かっています。筋トレのあとに落ち込んだ気分が和らいだりスッキリしたりするのは、セロトニンの効果なのでしょうか。
ここでは、セロトニンと筋肉の関係性に注目し、セロトニンが分泌されるメカニズムやうつ病などの精神疾患を改善する可能性についてまとめました。

 

 

筋肉がもたらす心への効果

現在、精神医学やスポーツ科学の世界では、投薬や認知行動療法の補助的手段として有酸素運動が推奨されています。有酸素運動には、セロトニンやエンドルフィンといった神経伝達物質や神経成長因子が関与し、不安を抑えてくれることが過去の論文や分析で分かってきたからです。
一方で、筋肉運動が心の健康にもたらす効果についてはあまり知られてきませんでした。

ですがここ最近、筋トレとうつの関係性に関する数十の研究を専門家が分析した結果によると、「筋力トレーニング」が健常者、不安障害を持つ人ともに不安症状を改善する可能性が示されました。
さらに、筋トレの効果は性別や年齢の影響を受けないことが分かっています。このことから、有酸素運動に限らず筋トレによってもセロトニンが分泌され、幸福感をもたらすのではないかと考えられるようになりました。
筋トレがどのようにして心の健康に効果を及ぼすかは完全には解明されていませんが、気分に影響を及ぼす神経化学物質のレベルによって脳内の状況が変化するからだと見られています。

肉体的な健康がうつのリスクを軽減

数多くの研究で、肉体的に健康だとうつ状態になるリスクが減少するという結果が出ており、また、うつ病の診断を受けた人の症状を軽減するには運動が効果的という結果が出ています。このことから、筋肉を鍛えることによって肉体的に健康になると、うつ症状が緩和されるという仮説は理に適っていると言えるでしょう。
心技体という言葉があるように、肉体と精神は密に関わり合っているのです。

筋トレによって分泌されるホルモン

適度な運動をすることによって、セロトニンやドーパミン、エンドルフィン、テストステロンといった脳内ホルモンが分泌されます。これは筋トレ時にも同様に分泌されており、気分が高揚する、心身の苦痛を和らげるといった効果をもたらします。
また、筋トレをすることで「トリプトファン」という物質の分泌も増加します。トリプトファンは、体内でセロトニンに変化するセロトニンのもととなる物質です。筋トレによって体内のトリプトファンが増えることによって、さらなるセロトニン分泌の増加が見込めると言えます。

トレーニング量による差や違いなし

アメリカの研究によると、うつ症状の軽減具合と筋肉運動の時間や量について、相関性がないことが分かっています。運動をする習慣が週2日でも5日でも同じような効果があり、繰り返す運動回数の多さによっても特別な変化はありませんでした。
うつ症状や落ち込む気分を和らげたいなら、無理にたくさん運動しようとせず、自分の年齢や体力、生活スタイルに合わせ、筋肉を動かす習慣をつけるだけで良いのです。
大切なのは少しの運動でも良いから無理なく続けること。筋トレの器具が揃う専門的なジムに通わなくても、自宅でのトレーニングでも効果を得られます。
まずは簡単な動作からはじめてみてはいかがでしょうか。

リズム運動による相乗効果

セロトニンは、筋肉の収縮と弛緩(しかん)を繰り返すリズム運動によって分泌されやすくなるとされています。筋トレ時に一定のテンポをキープすることで、リズム運動によるセロトニン分泌を促せるためおすすめです。スクワットや腕立て伏せなど、手足の曲げ伸ばしや呼吸にリズムをつけて行うと効果的です。

今すぐできる筋トレ「膝立ちスクワット」

正座の姿勢からゆっくりと膝立ちになるスクワットです。両手を頭の上に添えてゆっくりと膝立ちになったら、次にお尻とかかとがつかないギリギリのところまで腰を下げていきます。そこからまたゆっくりと膝立ちになる、腰を下げる、の繰り返しです。
ポイントは、背中を垂直に伸ばしながら行うこと。下を向かず、視線も斜め上を見るようにしましょう。10~20回をワンセットに、無理せずできる回数から徐々に調整してください。

筋トレの方法は、動画サイトやトレーニングに関するWebサイトで数多く紹介されています。
自宅でトレーニングをするなら、さまざまなツールから飽きずに続けられそうな、お気に入りコンテンツを見つけておくのもおすすめです。

 

 


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

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