コルチゾールとセロトニン・オキシトシンの関係とは?


人前に出て話す機会や試験のときなど、普段よりも緊張して不安になったり冷静になれなかったりといった経験は誰にでもありますよね。心拍数が上がる、冷や汗が出る、頭が真っ白になる自分に戸惑ったことのある方も多いのではないでしょうか。
実は、これらの現象には「コルチゾール」という物質が関係しています。ここでは、このようなときに脳や体に起きていることについて解説。コルチゾールとセロトニン・オキシトシンとの関りについて調べました。

 

 

コルチゾールとは

別名「ストレスホルモン」

コルチゾールとは、副腎皮質から分泌されるホルモンのひとつです。糖質や脂質、たんぱく質などの代謝を調整し、抗炎症や抗アレルギー作用の生理作用を持つことが分かっています。
また、人間がストレスを感じたときに分泌が急激に増加することから、別名ストレスホルモンとも言われています。
副腎とは腎臓の上にある小さな臓器で、その外側の部分が「副腎皮質」です。コルチゾールは朝から夜まで副腎皮質から分泌されていて、朝目覚めた時に分泌量が最も高く、寝るまでの間に徐々に低くなっていきます。人がストレスを受けた時にコルチゾールが多く分泌されるのは、ストレスから身を守るためといわれており、瞬間的に分泌量が増えるのに問題はありません。
しかし、長期的にストレスにさらされてコルチゾールが増えすぎると、中枢神経や交感神経が働きすぎて、炎症やアレルギー反応など免疫機能を抑制してしまいます。
また、感染症や糖・脂質・たんぱく質などの代謝機能低下により糖尿病、高血圧などの病気にもつながるなど、体のさまざまな機能に影響を及ぼします。

うつの人はコルチゾール値が高い

コルチゾールが長期にわたって過剰に分泌されると、脳の「海馬」とよばれる記憶を司る部分を委縮させてしまうと言われています。
実際に、うつ病の患者の人は健康的な人に比べ、コルチゾールの値が高いことが報告されています。

一時的なストレスでコルチゾールが過剰に分泌されても、脳のフィードバック機能が働いてやがて分泌はおさまります。ですが、うつ病の人はセロトニンやオキシトシンが減少するため、コルチゾールの過剰分泌が止まりにくくなります。そのため、過剰に分泌されたコルチゾールが長期にわたって神経細胞に影響を起こしてしまうのです。
長期的なストレスにさらされると心身のバランスが崩れはじめるのは、コルチゾールが脳と心身の健康を結びつける役割を担っているから。
仕事や人間関係などでストレスを感じたとき、コルチゾールの過剰分泌を抑えて、適切に分泌させることが大切です。

コルチゾールについての研究

うつ病などの心の不調にはストレスがかかわっており、長期的なストレスによってセロトニンが欠乏すると発症しやすくなると考えられてきました。
しかし、最近の研究によって、セロトニンの合成低下で発症するうつ病のほかには、発症の引き金となる原因にはコルチゾールも関係していることが分かってきました。

コルチゾールとストレスとの関係性

コルチゾールとストレスに関する研究によると、うつ病の人はストレス負荷後に時間が経過しても、コルチゾール濃度が低下しない傾向にありました。また、抗うつ薬が効かなかった患者のコルチゾール濃度も増加傾向にありました。
一方で、うつ病が軽快すると脳のフィードバック機能が正常となり、コルチゾールの過剰分泌もおさまりました。
また、脳のフィードバック機能の低下はうつ病ではない人にも軽度ながら見られたことから、コルチゾールの増加が原因で脳のフィードバック機能そのものが低下するのではないことが明らかになりました。
コルチゾール濃度が高い状態が続くと、海馬にある「グルココルチコイド受容体」というホルモンが刺激され続けます。
グルココルチコイド受容体は、ストレス刺激に対して脳のフィードバック機能が過剰に反応しないよう、調節する役割を持っています。
食欲の低下や意欲の低下、過去の悪い経験や記憶が促進されて悲哀感を増加させる精神的な反応を引き起こすのは、コルチゾール濃度増加によってグルココルチコイドが刺激され、脳のフィードバック機能が過剰に反応してしまうからではないか、という説が唱えられています。

参照元:三國雅彦著「ストレスがどうしてうつ病を起こすのか―うつ病の発症脆弱性の病態生理―」(https://www.msd-life-science-foundation.or.jp/banyu_oldsite/symp/about/info/pdf/2-5_053_056.pdf)

セロトニンを増やしてコルチゾールを抑制する

神経伝達物質として脳全体に働きかける役割を持つセロトニン分泌量が低下していると、認知の低下や疲労感、うつや自律神経失調症などを引き起こします。一方で、ストレスに反応してコルチゾールが過剰に分泌された状態が続いてしまっても、心身のバランスは崩れてしまいます。
オキシトシン分泌で脳ストレスを消して、セロトニンを増やしてコルチゾールの過剰な分泌を抑えることが、心を安定させることにつながっていきます。

副腎の疲れをとる

コルチゾールが過剰に分泌された状態が続くと、副腎に疲れがたまってしまいます。必要なときに十分な量のコルチゾールを分泌できなくなってしまうため、副腎の疲れをとることが大切です。副腎が弱っていると、炎症を抑える機能も働かなくなるので、疲労感やさまざまな体の不調が起こる可能性も。
まずは副腎をケアする食材を積極的に摂って、食生活の見直しを意識してみてください。

たんぱく質・脂質

副腎をケアするのに有効な食べ物は、良質なたんぱく質や脂質です。肉なら鶏肉や豚肉、牧草飼育の牛肉が理想的です。魚なら、オメガ3系の脂肪酸が含まれたイワシやアジなどの青魚が良いでしょう。
「良質な脂質」とは青魚に含まれる脂のほか、オメガ3脂肪酸やαリノレン酸が含まれるアマニ油やえごま油がベター。中佐脂肪酸が多く含まれているオリーブオイルやココナッツオイルもおすすめです。

香味野菜やハーブ、スパイス

肝臓に疲労がたまると副腎の負担にもつながります。食生活の中に積極的に摂り入れたいのが、玉ねぎやニンニク、しょうが、パクチーなどの香りの強い野菜です。
これらの香味野菜には解毒作用があるといわれており、肝臓の疲労を回復するはたらきがあります。ハーブやスパイスなどにも肝機能を保護する作用があるので効果的です。
また、色素や香りに含まれる「フィトケミカル」という成分が抗アレルギー作用や抗酸化作用をもたらします。なるべく多くの色の野菜を食べることを心がけてください。

ビタミンB・ミネラル

ビタミンB群はホルモンがつくられる上で体内で大量に消費される栄養素です。副腎に疲労がたまる人は不足しやすいため、ビタミンBが多く含まれた食材を摂るようにしましょう。ビタミンBは豚肉や卵、緑黄色野菜、貝類や海藻類に多く含まれています。
また、腸でミネラルの吸収がうまくいかないために副腎疲労につながることもあります。貝類や海藻類にはミネラルも豊富に含まれているので、積極的に摂りたいところです。
豚肉や卵には、セロトニンのもととなる「トリプトファン」も多く含まれています。食事に取り入れることで、セロトニンを増やすことにもつながるでしょう。

適度な運動をする

適切にコルチゾールが分泌されるためには、有酸素運動が効果的です。ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を定期的に続けている人は、運動をしていない人に比べてストレスに直面したときのコルチゾール分泌量が少ないことが検証されています。
運動は、体に負荷をかけるという意味では「ストレス」と同じです。運動をしたときに筋肉を使うと酸素やエネルギーを必要とするため、コルチゾールが分泌されて心拍数や血圧が上がります。
しかし、運動を繰り返すことで、運動を終えたときにコルチゾール分泌がコントロールされるようになり、普段の生活でストレスがかかったときにもコルチゾールが適切に分泌されるようになります。適度な運動を続けることがコルチゾールの過剰な分泌を抑えるトレーニングにつながるのです。

ストレスとうまく付き合うコツはコルチゾールとセロトニン・オキシトシン

これまでに、セロトニンは脳の前頭前野という部分に作用してストレスと不安を調節している可能性が示されています。セロトニンとコルチゾールはどちらもうつ病の発症に関わりのある物質だとされています。

オキシトシンはコルチゾールの過剰な分泌を抑えながらセロトニンを増やしていく働きがあります。ストレスとうまく付き合うコツは適度な運動や食生活の改善ですが、「脳からストレスを消す整体!」セロトニン活性療法は、オキシトシンとセロトニンを活性化することができます。ストレスをコントロールすることで、コルチゾールも調整できるのです。無理せずできる範囲で実践してみてはいかがでしょうか。

 

 


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

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