パニック障害


突然強い恐怖や不安感を感じることにより、発作的にパニック状態になってしまうパニック障害。発症するメカニズムはまだ詳しくはわかっていないものの、脳の神経系の異常が影響していると考えられており、精神の安定を司っているセロトニンも関係しているのではないかといわれています。

パニック発作が起きると、恐怖や不安のほか、冷静に考えられなくなる、大声で叫びたくなる気分といった心の症状のほか、動悸や息切れ、めまい、発汗といった体の症状もあらわれる点が特徴です。このページでは、こういったパニック障害の症状や治療法に加え、どういった人がパニック障害を発症しやすいのかといった傾向についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

パニック障害とセロトニンの関係性

パニック障害とは、何でもない状況なのに突然強い恐怖や不安を感じ、パニック状態になってしまうことを言います。パニック障害が起こるメカニズムは、まだ詳しくわかっていませんが、脳の神経系の機能に異常が起きているのではないかと考えられています。
パニック障害の方は、「大脳」「大脳辺緑系」「青斑核・視床下部」3つの部分に変化が起きていると言われています。この3つの部位で重要な役割を果たしているのが、情報をコントロールし、精神状態を安定させる働きを持つ「セロトニン」です。パニック障害の方は、セロトニンの分泌量に異常が生じ、強い不安を感じたり回避行動をとったりするのではないかと考えられています。

パニック障害の症状

パニック障害は、心と体どちらにも症状が現れます。

心の症状

  • 強い不安
  • 強い恐怖
  • 物事が冷静に考えられなくなる
  • 大声で叫びたくなる など

体の症状

  • 動悸
  • 息切れ
  • めまい
  • 発汗
  • 震え
  • 吐き気
  • 息苦しさ など

特に不安や恐怖感は「死んでしまうのではないか」と思うほど強く、自分ではコントロールが難しいのが特徴です。するとパニック発作を起こす状況や場所を避けるようになり、日常生活に支障が出てきてしまいます。また、症状が進行すると、うつ状態やうつ病になってしまう可能性も指摘されています。 また、パニックを起こしている状態を「パニック発作」、発作を起こしてしまったらどうしようと考え不安になる状態を「予期不安」、大勢の人が集まる公共の場所に恐怖を感じることを「広場恐怖」と言います。

パニック障害の原因とは

私たちの体は、地震や火事、事件など命の危険に晒された際すぐに逃げられるよう、パニックを起こすようにプログラムされています。危険なことがあったら、とにかく急いで逃げたり、大声を出して助けを求めたりする必要があるからです。
このような反応が日常に起きてしまう状態が「パニック障害」ですが、これはセロトニンなど脳の神経伝達物質に関係があるのではないかと考えられています。

パニック障害になりやすい人は

パニック障害は、誰でもかかる可能性があります。ただし、男性より女性、若い人、一等親(兄弟・親)にパニック障害の人がいる場合は、それ以外の人よりかかる可能性が高いことが知られています。

パニック障害の治療法は

パニック障害の治療は「投薬治療」「精神(心理)療法」の2つを中心に進められます。

投薬治療

パニック障害は、SSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)と、抗不安薬(安定剤)2つの薬を中心に投薬治療が行われます。SSRIは、セロトニンの分泌量のバランスを改善に導くもの。抗不安薬は、GABAの働きを高めることで、強い恐怖や不安感を和らげる効果があるとされているものです。SSRIは即効性がなく、継続することで効果が見られるものです。反対に抗不安薬は即効性があるため、症状に応じて2種類を組み合わせて服用することがあります。

精神(心理)療法

パニック障害は病気なので気持ちだけで治るものではありませんが、その人それぞれの症状に合わせて精神療法がとられることもあります。精神療法では、まずパニック障害についてしっかり理解するところからスタートします。それから少しずつパニックを起こしやすい状況を克服していくトレーニングを行いますが、それは治療が進んで症状が落ち着いた頃に行った方がいいとされています。
パニック障害は、本人だけでなく周囲が病気について理解し、ゆっくり見守ることも大切です。

セロトニンを規定値に戻す

パニック障害は、セロトニンのバランスが崩れることで起こるのではないかと考えられています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれているように、分泌量が減ってしまうと、幸福感や充実感等のポジティブな気持ちを感じにくくなる可能性があります。セロトニンは運動や食事で分泌を促進できるほか、サプリメントを利用するのもひとつの方法です。

それ以上に注目を集めているのが、セロトニン活性療法です。『脳からストレスを消す整体』セロトニン活性療法は研究を重ね、臨床試験を実地して論文が医学誌に数度、登録されている科学的根拠がある手技(整体)です。パニック障害にお悩みの方は、ぜひチェックしてみてください。

パニック障害への自分でできるケア

パニック障害を発症した場合、自分でできるケアとしては「規則正しい生活」が挙げられます。もし生活リズムが崩れているようであれば、まずは早寝や早起きを心がけてみてください。食生活の面では、カフェイン飲料などの刺激物は不安発作が起きやすくなるとされていますので、控えるようにしてみましょう。
また、ストレスを溜めすぎない生活を心がけることや、風邪をひかないことも大切です。これは、風邪を引いた場合にはパニック発作が起きやすくなると考えられるためです。

パニック障害への周りの人が出来るサポート

パニック障害を発症した場合、家族や周りの人の理解が得られない状態が続くと患者は孤独感を感じるため、焦らずにバックアップすることが大切です。

病気への理解を深める

バックアップする家族や周りの人が患者と接する際には、病気への理解を深めるという点が大切です。そのためにも、まず家族の場合は可能なら診察への同行が挙げられるでしょう。これは、医師に正確な情報を伝えるためという意味もありますが、また家族も医師の説明を受けられるという面もあります医師の話を聞くことによって症状に対する理解を深められますので、治療がスムーズに進むと考えられます。
また、病気への理解としては、発作が起きた場合に患者が感じる不安や心細さなどを知るということ。なかなか本人でなければ全て理解することは難しいですが、どのくらい本人が苦しいかを知ることによってあたたかく見守れれば、患者本人の安心にもつながるでしょう。

患者に安心感を与える

上記でご説明したように、通院の際に同行したり、発作が起きた場合にはそばにいることで安心感を与えられます。パニック障害の発作が起きると、患者自身は「このまま死んでしまうのではないか」と思うほど苦しい状態になると言われています。そのため、発作が起きた場合には不安を取り去ってあげることが大切です。
また、患者は身近な人の声を聞くだけで安心する場合もあります。ずっとそばにいて話を聞くことは難しいかもしれませんが、1〜2分程度の短い時間だけでも話をしたり話を聞く時間を持つようにすると良いでしょう。
中には、広場恐怖のある場合もあります。そのような患者の場合には買い物などに行くのが辛い場合もありますので、可能な限り付き添ったり手伝ったりすることで、大きな助けになるはずです。

 

 


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

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