不妊症


男女ともに発症する不妊症は、さまざまな要因が重なっていると考えられます。その中で、脳内神経伝達物質であるセロトニンも関係していると考えられています。このセロトニンからは卵子の酸化ストレスを軽減させて質の改善を行ったり、受精率や妊娠率に関わっているメラトニンが生成されていることが知られています。このことから、セロトニンやメラトニンと不妊症の関係についての研究も行われています。

そこでこのページでは、セロトニンと不妊症の関係や不妊症の原因と考えられているもの、そして治療法などについてまとめました。加えて、不妊症になりやすい傾向がある人はどのような人かという点についてもまとめていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

不妊症とセロトニンの関係性

不妊症は男女どちらにも発症するものです。そもそも妊娠は排卵・受精・着床と、たくさんの条件が揃わなければ成立しません。そのため、複数の要因が重なっていたり、逆にどんなに検査をしても原因が見つからなかったりする場合もあります。

不妊症に密接に関係してくるのが、セロトニンとメラトニンです。セロトニンは脳内神経伝達物質で、情報をコントロールしたり、精神状態を安定させる働きを持っています。
そんなセロトニンから生成されるのが、ミトコンドリアの抗酸化作用が期待されるメラトニン。メラトニンの補充によって卵子の酸化ストレスが軽減し、卵子の質の改善や、受精率・妊娠率に関わるとの報告もあります。

メラトニンの元となるセロトニンは、ストレスを起因として減少していきます。セロトニンの安定した分泌が、不妊症にアプローチするひとつの方法と言えるでしょう。

セロトニンと不妊症の研究

セロトニンとメラトニンの関係性は上記で書いたとおりですが、山口大学の研究によれば、不妊の原因を卵胞内のメラトニンが少ないことと仮説を立て、メラトニンを服用するグループとしないグループに分け、卵胞内のメラトニンに変化があるかの臨床試験を1か月行ないました。
結果、飲んだグループの卵胞内のメラトニン濃度が約4倍に増加するとともに、細胞障害の指標となる酸化ストレスマーカーも低下。受精率、妊娠率ともに上昇という結果が出ています。

参照元:山口大学大学院 医学系研究科 産科婦人科学(https://k-ijishinpo.jp/old/article/2018/201812/004404.html)

不妊症の原因とは

不妊症の原因と考えられているものを、男女それぞれご紹介します。
女性には主に5つの原因があります。

排卵因子(排卵障害)

生理不順の人は、毎月しっかり排卵されていない「排卵障害」の可能性があります。排卵障害が起こる原因は、ストレス・ダイエットなどのほか、多嚢胞性卵巣症候群なども指摘されています。適切な月経周期は25~38日とされており、これに当てはまらない場合は排卵障害の可能性があります。

卵管因子

卵管とは、卵巣と子宮を結ぶ管のことです。性器クラミジア感染症や骨盤内の手術を受けたことがある人は、卵管の閉塞・癒着の可能性があり、卵子が子宮内に取り込まれにくくなっていることも考えられます。また、子宮内膜症の人にも卵管周囲の癒着が見られることもあります。

子宮因子

子宮筋腫や粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープなど、子宮そのものの病気や異常も不妊症の原因のひとつです。受精卵が子宮内膜に着床しにくくなったり、精子が卵子へ向かうのを邪魔してしまったりするためです。

頸管因子

排卵時には精子の到達をスムーズにするため、帯下(おりもの)が増えます。しかし何らかの影響で帯下が減ってしまうと、精子が子宮内に入りにくくなり不妊症を引き起こします。

免疫因子

免疫の異常で、精子の運動を阻害したり止めたりする抗体を作ってしまうことがあります。この抗体が受精を妨げてしまうため、不妊の可能性が高まります。

男性には主に2つの原因が考えられています。

性機能障害

性機能障害には、ストレスなどで勃起しづらくなってしまう勃起障害(ED)や、膣内射精が難しい膣内射精障害があります。このほかに糖尿病や動脈硬化も、性機能障害を引き起こしやすいと言われています。

精液性状低下

精子の数が少ない・動きが悪い・奇形が多いなどで、受精しづらくなっている状態を精液性状低下と言います。無精子症という、精液内に全く精子が見られない状態もあります。

不妊症になりやすい人は

不妊症はどのような人がなりやすいのでしょうか。男女それぞれご紹介します。

女性の場合

女性の場合、月経に異常があると不妊症になりやすいと言われています。月経の異常とは、周期が極端に短かったり長かったりするほか、出血量が極端に多い、月経痛がひどい、などです。この他にも、性感染症・骨盤腹膜炎・子宮筋腫・子宮内膜症にかかったことがある方は、不妊症になりやすいと考えられています。また、年齢が上がるとともに妊娠しにくくなることもわかっています。

男性の場合

子どもの時にヘルニアや停留睾丸の手術を受けていると、不妊症になることがあります。また、睾丸炎を起こしたり、高熱が続いたりしたことがある場合、精子を作る働きが落ちている可能性があります。また、糖尿病も不妊症を引き起こしやすい要因のひとつです。

男女ともに精神的なストレスも不妊の原因となるため、神経質だったり真面目過ぎたりする人も、不妊になりやすい可能性があると言えるでしょう。

不妊症の治療法は

不妊症には、その人や原因それぞれに適した治療がとられます。

一般的な治療ステップは、タイミング法→排卵誘発法→人工授精→体外受精です。まずは排卵日を計測して受精しやすい日に性行為をする指導を行い、次に排卵を促す治療、性行為ではなく人工的に受精へ導く方法、そして取り出した卵子と精子を受精させる方法へとステップアップしていきます。

また、精神的なストレスによる月経不順やEDは、セロトニンを規定値に戻すことで改善も見込めます。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれており、精神的な落ち着きやリラックス効果が期待できるホルモンです。セロトニンの分泌を促すには、食事や運動のほか、サプリメントの摂取も有効とされています。

それ以上にいま注目を集めているのが、セロトニン活性療法です。『脳からストレスを消す整体』セロトニン活性療法は研究を重ね、臨床試験を実地して論文が医学誌に数度、登録されている科学的根拠がある手技(整体)です。セロトニン活性療法について、気になる方はチェックしてみてください。

不妊症への自分でできるケア

不妊症で悩んでいる場合には、病院での治療とともに自分でできるケアも行いましょう。どのようなケアができるのかを紹介します。

ストレス対策をする

日々ストレスを感じながら生活している方も多いでしょう。ただし、ストレスは女性ホルモンの天敵とも言われています。そのため、できるだけリラックスして過ごすように心がけることが大切といえるのです。また、女性だけではなく男性にとってもストレスは大敵です。日々ストレスを感じていると心身ともに疲れが溜まってしまいます。このように疲れが溜まってしまうと精子を作る能力にも影響すると考えられています。

適度な運動

日ごろ運動不足だと感じている方は特に、適度な運動に取り組むことも大切です。運動不足になると、摂取した糖分や脂肪をしっかりと燃焼させることができなくなります。そこで重要になってくるのが運動。まずは自分の体力に合わせてできそうな運動から取り組みましょう。たとえば散歩やジョギング、ヨガなどから始めてみるのがおすすめです。加えて、腹筋運動やストレッチなども良いでしょう。仕事の合間や家事の合間にできるものをみつけてみてください。

冷え性を改善させる

冷え性は妊娠しやすい体作りを行う上ではしっかりと対策しておきたい部分です。体の血行が悪い場合には酸素や栄養が卵巣までしっかり届くことができないため、卵巣の機能低下を招いてしまうことがあると考えられています。
日常の食事や生活習慣を見直すことにより冷え性を改善しましょう。

不妊症への周りの人が出来るサポート

不妊症で悩む人がいる場合、周りにいる人ができることは、まず当事者に寄り添う、ということです。不妊についての悩みは、他の人には話しにくいと感じている人もいます。そのため、無理に悩みを聞き出そうとせずに、「話したくなったら聞くよ」ということを告げるくらいにとどめておくことが良いでしょう。
また、もし本人から悩みを打ち明けられた場合には、相手の感情を否定しないことや、悩みの背景にコメントしないということも大切。あくまでも「聞き手」に徹することが大切です。

 

 


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

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