自律神経失調症


私たちの体は、「交感神経」と「副交感神経」によってバランスが保たれていますが、このバランスが崩れている状態を「自律神経失調症」と呼びます。自律神経のバランスが崩れてしまうと、頭痛やだるさ、めまい、食欲不振・過食、イライラ、不安感などさまざまな症状が見られることがあります。

この記事では、自律神経失調症について詳しく紹介する中で、脳内物質のセロトニンとの関連についてまとめました。自律神経失調症の原因として考えられるものやどういった人がなりやすいのか、そしてどのような治療法が行われるのかといった点について解説しています。自律神経失調症の症状がみられる人のセロトニン量に関するデータも掲載していますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

自律神経失調症とは

体が活動している時や昼の間に活発になる「交感神経」と、安静にしている時や夜間に活発になる「副交感神経」のバランスが崩れた状態を言います。
内臓や器官が病気になるのではなく、あくまでも不調が現れている状態のことを指すため、自律神経失調症は公式な病名ではありません。
症状が重くなると日常生活に影響を及ぼすこともあるため、早期発見と適切な治療が必要です。

自己判断は危険

自律神経失調症になると全身にさまざまな症状が現れるため、診断が難しいとされています。そのため、内科などで検査を受けても病気が見つからない場合、自律神経失調症の可能性があるとして心療内科や神経科を紹介されるケースがあるでしょう。
自分で調べたりして自律神経失調症かな、と思った場合でも、自律神経失調症以外の病気の場合もあるので、しっかりと医療機関で医師の診察を受けましょう。

受診すべき診療科は?

さまざまな部位に症状が現れるため、自律神経失調症であるという結論にたどり着くには、検査で確認をする必要があります。
別の病気が隠れている可能性も考慮し、まずは自分が一番つらいと感じている症状に合わせた診療科を受診しましょう。
便秘や下痢、食欲不振が強い場合は内科、手足のしびれなら整形外科、めまい・耳鳴りなら耳鼻科といった具合です。
イライラや気分の落ち込みなどの精神症状が強い場合には最初から心療内科や精神科を受診するのも良いですが、血液検査など他の検査も同時に行えるクリニックを選ぶことをおすすめします。

自律神経失調症とセロトニンの関係

内臓の働きや代謝、体温などの機能をコントロールするために常に働いている「自律神経」。日中や体の活動時に活性化される「交感神経」と、夜や安静にしている時に活性化される「副交感神経」で成り立っています。
この2つの自律神経を調節する機能を活性化する働きを担っているのが、実は脳内物質のセロトニンです。心や精神の安定、感情のコントロールをしてくれますが、ストレスがたまるとその分泌量が減っていきます。

そうして自律神経のバランスが低下すると、だるさやめまい、片頭痛、不眠、イライラといった症状が起こります。それが自律神経失調症です。セロトニンと自律神経失調症は密接に絡んでいます。

自律神経失調症とセロトニン量のデータ

うつ病患者のセロトニン量のデータ
セロトニン活性療法協会(https://jiritsusinkei-serotonin.com/)

自律神経失調症は病気というより症状ですが、自律神経失調症の悪化によりうつ病を発症する可能性もあります。

画像はうつ病の方と健常者の方のセロトニン量を比べたデータですが、うつ病の方が軒並みセロトニン濃度が低い数値になっています。
セロトニン神経からセロトニンを放出する量が少ないためセロトニンの濃度が濃くならず、受容体でうまくキャッチできないことが原因です。

自律神経の乱れによる心身症状の一例

  • 頭痛
  • だるさ
  • 食欲不振・過食
  • めまい
  • しびれ
  • 便秘・下痢
  • イライラ
  • 不安感 など

このような状態を「自律神経失調症」と言いますが、現れる症状は人それぞれのため、特定の病気を表す言葉ではありません。また、自律神経失調症は、うつ病などの精神疾患の一部として現れることもあります。

自律神経失調症の原因とは

自律神経失調症にはさまざまな原因があります。そのため、何が原因となって自律神経失調症を引き起こしているのか、個別にしっかり診断することが重要です。

ストレスや過労

仕事・人間関係のストレスや過労のほか、大きな音・まぶしい光・暑さ寒さなどの直接的なストレスも原因となります。

不規則な生活

睡眠不足や偏った食生活など、不規則な生活を続けると自律神経の乱れにつながります。

女性ホルモンの乱れ

更年期に差し掛かると女性ホルモンの分泌が減り、自律神経失調症にかかりやすくなります。また、不規則な生活やストレスなどで、女性ホルモンの分泌量が乱れることもあります。妊娠・出産時の急激なホルモン量の変化にも注意が必要です。

身体疾患

パーキンソン病、シャイ・ドレ-ガ-症候群、レビー小体型認知症などの身体疾患が、自律神経に影響を与えることがあります。

精神疾患

うつ病や不安症などの精神疾患の症状のひとつとして、自律神経失調症が現れることがあります。

生まれつきの体質

上記のような原因と関係なく、生まれつき自律神経が乱れやすい人もいます。低血圧や虚弱体質の方に多く、食事や運動などで体質そのものを改善していく必要があります。

自律神経失調症になりやすい人は

自律神経の原因や症状がさまざまなように、なりやすいタイプもいくつかあります。

感受性が過敏な人

周りの状況や自分の体調の変化に敏感な人は、感情が体調不良として表れやすいと言われています。

真面目で几帳面な人

他の人より何事も一生懸命取り組み、妥協を許せないため、精神的・身体的なストレスがかかりやすくなります。また、ストレスが続くと「うつ状態」になり、だるさ・頭痛・不眠・食欲不振など、さまざまな症状が現れてきます。

自律神経失調症の治療法は

自律神経失調症の症状が見られたら、どのような治療が行われるのでしょうか。自律神経失調症はさまざまな症状や原因があるため、個別に適切な治療を行うことが重要です。

休息をとる

ストレスや過労が原因となっている場合、まずはしっかり休息がとれる環境を整えます。特に十分な睡眠をとることが大切です。

生活リズムを整える

早寝早起き・一日三食のバランス良い食事など、生活リズムを整えることで自律神経も次第に整ってきます。多量の飲酒やカフェインの摂取、暴飲暴食など、普段口にするものや食生活を見直すことも重要です。

投薬治療

不眠の症状がある場合は睡眠薬、不安が強い場合は抗不安薬、頭痛がひどい場合は鎮痛剤など、症状にあわせた対症療法をとることがあります。
自律神経失調症とともにうつ病や不安症を発症している場合は、抗うつ薬(SSRIなど)が処方されることもありますが、根本的な原因を改善するために精神療法を組み合わせることも有効とされています。

セロトニンを活性化する

「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが減少すると、不安を感じたり心身に不調をきたしたりしやすいと考えられています。そのため、減ってしまったセロトニンの分泌を促す治療法をとることもあります。
いまメディアにも取り上げられ注目を集めているのが、セロトニン活性療法です。セロトニン活性療法は自律神経の研究と臨床を重ねて生み出され、論文登録もされた科学的根拠がある手技(整体)です。症状に苦しんでいる患者様はチェックしてみてください。

自律神経失調症への自分でできるケア

自律神経失調症を発症した場合、自分できるケアとしてあげられるのが、規則正しい生活リズムを回復させることが挙げられます。自律神経が乱れる原因には、睡眠不足や生活のリズムが崩れてしまっているというケースもあることから、生活リズムを整えることにより症状改善のきっかけとなることもあるでしょう。
また、バランスの良い食生活を心がけることや、飲酒を控える、タバコを控えるといったこともポイントとなってきます。

自律神経失調症への周りの人が出来るサポート

自律神経失調症の患者さんに対して、家族や周りの人ができるサポートにはどのようなものがあるのかを見ていくことにしましょう。

安心して治療に取り組める環境作り

自律神経失調症の症状は、日々変化します。そのため、昨日は元気そうだったのに今日は辛そうだということもあ李ますので、家族や周りの方も症状の変化に戸惑ってしまうことがあるかもしれません。しかし、まずは本人が安心して治療に取り組める環境を作ってあげることが大切。そのためにも、まずはどのような病気なのかを知ることも必要となってくるでしょう。
患者自身も周りが自分の病気について理解してくれていると感じることによって、安心して治療に取り組めるようになるはずです。

いつも通りに接する

患者と接する際には、過度に心配するのではなく「いつも通りに接する」という点も大切なポイントです。家族や大切な人が自律神経失調症と診断された場合、とても心配になることでしょう。何か特別な対応をする必要があるのか?と考えることもあるかもしれません。
しかし、周りの人が対応を変えてしまうと、本人は「自分はそんなに悪い症状なのか」と余計に思い悩んでしまうこともあります。そのため、それまでと同じように接することが大切です。

辛そうな時にはフォローを

いつも通りの対応が大切とご説明しましたが、患者さんが調子が悪そうにしていることもあるでしょう。そのような時には、「大丈夫?」「何かできることはないか?」といったようにフォローしてあげると良いでしょう。辛いときにひとことかけてもらえるだけで、患者さんはほっと安心できることでしょう。
また、辛い時にフォローしてくれる人がいる、と患者自身が知ることによって、安心して治療に取り組むことができるはずです。

 

 


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

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