感情・気分のコントロールや精神の安定に関わっているとされる脳内物質・セロトニンの減少は、不眠症や睡眠障害に影響すると考えられていることから、不眠症とセロトニンの関係についてさまざまな研究が行われています。
そこでこの記事では、不眠症とセロトニンの関係について紹介しています。入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟睡感欠如といった不眠症の症状や原因、不眠症になりやすい人の傾向についてまとめています。さらに、不眠症の症状がある場合にはどのような治療が行われるのかといった点についても解説しました。日本人の5人に1人が睡眠に何らかの問題を抱えているともいわれていますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
不眠症や睡眠障害の一因が、実は脳内物質セロトニンの減少です。感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっているこの脳内物質は、過度のストレスの蓄積により徐々に減少していきます。
そのセロトニンから生成されるのが、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニン。メラトニンは夜になると分泌され、体温を下げて眠りにつかせる役目があるので、セロトニン量が少ないとその分泌も少なくなるというメカニズムです。
理化学研究所の研究によれば、セロトニン除去の物質を投与されたラットは、睡眠・覚醒に直結する「前脳基底部・視索前野」という部位のサーカディアンリズム(24時間周期のリズム)が消失していたことを発見。つまり、セロトニンが不足すると脳内時計が正常でも睡眠・覚醒のリズムが乱れるとともに、前脳基底部・視索前野でセロトニン系が機能しないと睡眠リズムが崩れてしまうということが見えてきた研究と言えます。
参照元:理化学研究所(https://www.riken.jp/press/2012/20121017/)
不眠症は大きく分けて4つのタイプに分けられ、それぞれ症状が異なります。
30分以上経っても寝つけない。
途中で目覚めてしまい、再度眠ることが難しい。
朝かなり早い時間に目が覚めてしまう。
睡眠時間はとれているものの、しっかり寝た感じがしない。
このような状態が1ヶ月以上続くと、頭痛・食欲不振・めまいなどの身体的不調、意欲低下・抑うつ状態・集中力低下などの精神的不調の症状が現れてきます。
不眠症にはさまざまな原因がありますが、大きく分けて5つに分けられます。
身近な人の死や、人間関係・仕事等のストレスで起こる不眠です。最近自分にストレスとなる出来事がなかったかどうか、一度考えてみるといいでしょう。
怪我やリウマチなど痛みのある疾患、アトピーや湿疹など痒みのある疾患、咳・鼻水・頻尿など睡眠を妨げるさまざまな身体的な要因で起こる不眠です。体の怪我や病気に心当たりがある人は、一度主治医に相談しましょう。
不眠症の3分の1~半数は、精神医学的な症状(うつ病・抑うつ状態)を抱えていると言われています。落ち込んだ気分が続いている人は、一度心療内科や精神科を受診するのもひとつの方法です。
薬が原因で引き起こされる不眠です。代表的な薬は、ステロイドや抗がん剤、中枢・自律神経に働きかけるものなどです。薬のほか、カフェイン・アルコール・ニコチンが原因となることもあります。薬に関しては主治医に相談し、毎日の飲み物にカフェインやアルコールが含まれていないか確認してみましょう。
環境によって引き起こされる不眠です。例えば時差ボケ・昼夜逆転のライフスタイル・ベッドやパジャマが合わない、などさまざまな要因が考えられます。特にライフスタイルに大きな変化があると、眠る機能が低下してしまうと言われています。心身ともにリラックスして眠れる環境を整えることが大切です。
不眠症はどのような人がなりやすいのでしょうか。当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
不眠症は、若い人よりも高齢者の方がなりやすいのが特徴です。日本人の5人に1人が何か睡眠に問題を抱えており、60才以上になるとその割合が3人に1人になると言われています。
神経質で真面目な人はストレスを感じやすいため、不眠に繋がりやすいと考えられています。
カフェインやニコチンには覚醒作用があります。コーヒー・紅茶・栄養ドリンクなどのカフェインを含む飲み物を飲む人や、煙草をよく吸う人はなりやすいと言われています。また、カフェインには利尿作用があるため、トイレに起きることでも不眠を引き起こしてしまいます。
昼夜逆転の生活など、生活リズムの乱れも不眠に繋がります。また、テレビゲームやスマホなどの光や電磁波は交感神経を働かせてしまうため、不眠になりやすくなります。
薬に含まれている成分が不眠を引き起こすこともあります。
不眠症の治療は、その症状や原因によってさまざまな方法がとられますが、まずは生活習慣を整えることが大切です。「幸せホルモン」などと呼ばれる「セロトニン」も良質な睡眠に関わりがあると考えられているため、食事や運動なども有効とされています。
生活習慣を整えても改善されない場合や、うつ病を併発している場合は、睡眠薬などの投薬治療もとられます。
セロトニンを活性化する方法としていま注目されているのが、セロトニン活性療法です。『脳からストレスを消す整体』セロトニン活性療法は研究を重ね、臨床試験を実地して論文が医学誌に数度、登録されている科学的根拠がある手技(整体)です。不眠症の症状に苦しんでいる方は、ぜひチェックしてみてください。
不眠症を改善するためには、生活習慣の改善や眠りに対する意識の改善などが挙げられます。
まずは、就寝時間や起床時間は毎日同じにすることが大切です。就寝時間については、毎日同じ時間に布団に入るようにします。また、起床時間については、何時間眠れたかといった点やその日の予定などに関わらず毎日同じ時間に起きることがポイントです。これは、日によって就寝時間や起床時間が異なると思うように寝られないだけではなく、体調の不良も見られるケースがあるためです。
また、嗜好品についても注意が必要です。例えばアルコールは2時間程度の催眠作用があるものの、時間が経つと睡眠を浅くする作用があるとされていますので、控えた方が良いでしょう。また、タバコにも覚醒作用がありますので、就寝時間の1時間前は控えましょう。加えて、個人差があるもののカフェイン飲料にも覚醒作用があることに加え、利尿作用があるために中途覚醒の原因になる場合もあります。就寝の4〜5時間前からはカフェインは控えましょう。
うまく眠れないと「眠れない」というところに意識が集中してしまい、余計眠れなくなってしまうこともあります。そのため、20分以上眠れない場合には思い切って一度布団から出てしまいましょう。その後の過ごし方は、暗めの照明にしてリラックスしながら過ごすことがポイントです。
不眠症の方に対し、家族や周りの方ができるサポートとしては、下記のようなことが挙げられます。
不眠症を改善するためには、睡眠環境を整えることも大切です。ここでポイントとなるのが、光や音などが挙げられます。例えば、寝ている間にスマートフォンやパソコンなどの光を浴びてしまったり、ペットの鳴き声など物音が聞こえて目が覚めてしまい、うまく寝られなくなってしまうこともあります。そのため、家族や周りの人は光や音に注意しながら睡眠環境を整えてあげることが大切になってきます。
不眠症などの睡眠障害は、誰がいつ発症してもおかしくない病気です。そのため、家族がいつもと違うサインを発していないかに注意することが大切です。
不眠症の方が発するサインとしては、「寝つきが悪く、夜中に目がさめる」「日中に居眠りするようになった」「朝に二度寝をするようになった」などさまざまなものが考えられます。このようなサインがあり、寝られないと悩んでいるようであれば医療機関への相談を提案してみるのも良いでしょう。