「自閉症スペクトラム障害(ASD)」や「注意欠如・多動性障害(ADHD)」、「学習障害(LD)」といった主に3つの種類がある発達障害は、脳機能の障害が主な原因とされています。
この発達障害には神経伝達物質であるセロトニンが大きく関連していると考えられていますが、症状やその重さについては人それぞれ。さらに成長とともに症状も変化していくことから、画一的な治療ではなく個人個人に合わせた適切な治療を行っていくことが非常に大切と考えられています。
そこでこの記事では、上記に挙げた発達障害の種類を紹介するとともに、発達障害の二次障害にはどういったものがあるのか、そしてどのような治療方法が行われているのかについてまとめています。
自閉症に加え、読み書きや計算が苦手「学習症(LD)」、衝動的に行動してしまう「注意欠如・多動症(ADHD)」などの発達障害は、脳や神経の働きに必要な神経伝達物質であるセロトニンと大きくかかわっています。
発達障害は脳機能の障害が主な原因であると言われており、一部の自閉症の人たちに感情のコントロールや精神の安定などに作用するセロトニンをつくったり、セロトニンを細胞に取り込む機能の異常が見つかっています。
理化学研究所の研究によれば、マウスの染色体にヒト同様の変異を生じさせたところ、鳴き声で母親と意思疎通するのが苦手であるなどASDに似た特徴の行動をしたとのこと。脳の働きをさらに深く調べてみると、脳幹にある「縫線核(ほうせんかく)」という部分の働きが低下。ここで作られる神経伝達物質セロトニンの量が減っているという結果が出ていたそうです。
このマウスの乳児期にセロトニンを投与してみると、ASDに似た特徴が緩和されたという結果も出ています。
参照元:理化学研究所(https://www.riken.jp/press/2017/20170622_1/)
発達障害には以下のような種類があります。その症状や重さは人それぞれで、複数を併発している場合もあるため、個人に合わせた適切な治療法をとる必要があります。
自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害が、自閉症スペクトラム障害(ASD)に含まれます。人と関係を築いたり、コミュニケーションをとったりするのが難しい・興味の範囲が限定されていて強いこだわりを示す、といった症状があるのが特徴です。女性より男性に多く、100人に1~2人くらい発症すると言われています。
7才までに現れる障害で、多動・衝動性・不注意などの行動が見られます。こちらも男性の方が発症しやすいのが特徴です。
じっとしていられない・おしゃべりしすぎるなどの多動性は、多くの場合成長と共に軽くなっていきます。うっかりミスをする・集中力がない・人の話に割り込むなどの不注意・衝動性は、青年期までに半数が軽快するとされていますが、大人になっても症状が落ち着かない場合もあります。
読み・書き・計算など、部分的な学習が非常に困難な状態のことを言います。特定の事柄以外の知的発達は問題ないのが特徴で、小学校に入って勉強をするようになるとこの症状が顕在化してきます。
発達障害は、成長とともに症状が変化していきます。発達障害が原因でコミュニケーションがとれずうつ病を発症してしまう人もいれば、周囲が理解を示し受け入れることで特別な才能が開花し、さまざまな世界で活躍する人もいます。家族や友人、仕事関係の人がしっかり発達障害について理解し、お互いが暮らしやすい工夫をすることが大切です。
発達障害は先天的なもので、脳の機能のどこかに異常が生じることで発症すると考えられています。詳しい原因はわかっていませんが、お腹にいるときにお母さんが風疹に感染したり、何らかの遺伝子の異常が起こったりすることも影響していると言われています。
まれに「親の育て方が悪いからだ」などと言う人もいますが、それは誤りです。環境によっては発達障害が顕在化しにくく、周囲に受け入れられてのびのびと育ち、特に日常生活に影響しない場合もあります。
発達障害が原因で、うつ病や不安症などの精神疾患や、頭痛・腹痛などの身体疾患を患ってしまうことを「二次障害」と言います。発達障害を抱えている人は、先生や親からひどく叱られてしまったり、友達からからかわれてしまったりすることがあります。そのような強いストレスを受け続けることで、心身にさまざまな症状が現れてしまうのです。
予防するためには、発達障害を早期に発見し、本人や周囲が暮らしやすい環境を整えることが大切です。
発達障害は完治が難しい障害です。そのため、症状に合わせてさまざまな治療法がとられます。
例えば自閉症の場合、人とコミュニケーションをとることが困難な特性があるため、コミュニケーション能力を鍛える訓練を行います。このように周囲に適応できるような発達を促すことを、療育と言います。
例えばADHDでは、ノルアドレナリンやドーパミンなどの機能を高める薬を処方する場合があります。また、うつや不安症を併発している場合も投薬治療が有効とされています。
発達障害が原因でうつ状態や不安感を抱えている場合は「幸せホルモン」と呼ばれる「セロトニン」を活性化する方法も効果的と考えられています。セロトニンは、食事・運動・サプリメントなどで生成を促進することが可能です。
それ以上に注目を集めているのが、セロトニン活性療法です。『脳からストレスを消す整体』セロトニン活性療法は研究を重ね、臨床試験を実地して論文が医学誌に数度、登録されている科学的根拠がある手技(整体)です。発達障害に苦しんでいる方は、ぜひチェックしてみてください。
発達障害は、時には周囲から努力不足といったように捉えられやすい面があります。そのため、周りの人にも発達障害の特性を理解してもらうという点が大切になってきます。周りの理解が進めば、自分の特性に合わせて環境を調整できるようになるでしょう。
また本人ができる工夫として、まず自分の特性を理解して得意なことを活かせる環境を選べれば、これまでうまくいかなかったことがスムーズに進められるようになるかもしれません。さらに、苦手な内容をカバーする方法を考えるとともに、困った時には周りへの相談をするという習慣を大切にすると良いでしょう。
発達障害は、それぞれの患者によって現れ方が異なります。また、患者本人が苦手と感じていることや得意なことも異なりますので、ひとりひとりの特徴に応じた配慮が必要になってきます。そこで、発達障害の方と接する場合のポイントをご紹介します。
発達障害がある人は、他の人ができることもうまくいかない場合があります。そのため、努力していることやうまくいったことを褒める、という点が大切です。
それと同時に、できないことや失敗したことは責めないという点もポイントです。責めたりすると、本人が落ち込んでしまう場合もあります。そのため、注意をする場合にはどうすればもっと良くなるのか、肯定的に伝えるようにしましょう。
発達障害がある場合、あいまいな表現を理解するのが難しいケースがあります。そのため、何か説明をする際には短い文章で簡潔に説明します。また、ひとつずつ順序を追う、具体的な説明をするといったことも心がけると、スムーズに伝わるはずです。
また、言葉で説明するよりも視覚的にわかりやすい情報を使って説明するとスムーズに理解してもらえることもあります。
症状によっては、人混みや大きな音などを苦手とする場合もあります。そのような症状がある場合には、刺激を与えないような安心できる環境を作ってあげることが大切になってきます。
また、発達障害を持つ子どもが騒いだり、パニックを起こしているところに出会う場合もあるかもしれません。そのような時には周りの人はあたたかく見守るという姿勢を持っていることで、患者本人もその家族も楽になるはずです。