セロトニンとPMDDの関係とは?


毎月、月経が近づいてくると不調を感じる、特に強い不安を感じたり、強いイライラを感じるなどで普段通りの生活を送ることが難しくなってしまう方もいるかもしれません。そのような場合、「PMDD(月経前不機嫌性障害)」と呼ばれる症状の可能性も。
このページでは、PMDDとはどのような症状が見られるのか、また治療はどのように進めていくのかといった点に加えて、セロトニンとPMDDの関係についてご紹介しています。気になる症状がある場合にはぜひ参考にしてみてください。

 

 

PMDD(月経前不機嫌性障害)について

月経前にひどく落ち込んだり、イライラするなど、日常生活に支障が出るほどの症状が出ている場合には、PMDDの可能性があるといえるでしょう。ここでは、PMDDとはどのようなものなのか、またどんな治療を行うのかをご紹介します。

PMDD(月経前不機嫌性障害)とは?

PMDDとは、「月経前不機嫌性障害」と呼ばれるもので、「Premenstrual Dysphoric Disorder」の略です。月経前に不調が出てくると、PMSを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、PMDDはPMSよりも症状が強く、日常生活に支障が生じているものを指します。

PMDDで見られる症状は人によって異なりますが、主に精神的な症状が非常に重いという点が特徴です。強い抑うつ気分や不安感、怒りの感情などが見られます、中には暴力的な行動が出たり重度のうつ状態になったりといったケースもあり、自殺願望まで抱いてしまう場合もあります。

このように、PMDDはPMSよりも精神症状が顕著に現れますが、症状の現れ方には個人差があります。月経の1週間前くらいから調子が悪くなる、というケースが多く見られますが、人によってはそれより前から不調を感じるというケースも。そうなると、1ヶ月の半分は不調を感じることになるために生活の質が落ちてしまうといった可能性もあります。

PMDDの治療について

PMDDと思われる症状が見られる場合には、治療を行うこともあります。上記で説明したような精神的な症状に対する治療において効果的と考えられているのが、「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)」と呼ばれる薬です。この薬は、抗うつ剤の一種であり、シナプスにおけるセロトニンの再吸収に作用します。

この薬を服用することによって、黄体ホルモンや卵胞ホルモンが作用することで低下すると考えられているセロトニンを補うことでPMDDの治療を行います。服用した場合には、吐き気といった副作用が現れることがありますが、およそ1〜4週間服用を継続することで症状が消失することが多いとされています。

また、漢方薬もPMDDの症状が見られる場合の治療の選択肢として挙げられていますが、比較的症状が軽い場合に用いられており、多くの場合にはSSRIを用いて治療することがすすめられています。
ただし、どの治療方法が自分に合っているかを判断するには、まずクリニックに足を運んで、医師に相談することからはじめましょう。中には自分がPMDDの症状に当てはまることに気づいていない方もいるかもしれません。月経前に気になる症状がある場合には、いちどクリニックで相談してみることをおすすめします。

セロトニンとPMDDの関係

上記で紹介した通り、PMDDではSSRIと呼ばれる薬を用いて治療を行います。このことから、PMDDは神経伝達物質であるセロトニンと大きな関わりがあると考えられています。
PMDDが起きるメカニズムについては、まだわかっていない部分も多くありますが、卵巣から分泌される女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)や、その代謝産物の影響によって、セロトニンの分泌が減少してしまうことが関連していると考えられています。

脳内の神経細胞と神経細胞には隙間があり、その隙間で神経伝達物質が放出され、細胞間で情報の伝達が行われていると考えられています。この時に働く神経伝達物質はさまざまなものがありますが、中でも情動に影響を与えるものとしてはセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンといった「モノアミン神経伝達物質」とされています。
中でも、セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンの働きを調整することによって、精神的な落ち着きや安定感をもたらしてくれるという働きを持つ神経伝達物質です。月経前には黄体ホルモンなどの影響により、セロトニンの分泌が減少することによって気持ちが落ち込んでしまいうつ状態となったり、ひどくイライラを感じるといったことにつながるとされています。

まとめ

このページでは、PMDDとはどのような症状なのか、そしてセロトニンとの関係について紹介してきました。月経前に不調を感じる方は多いかもしれませんが、自分では毎月のことだから治療は必要とは全く考えていない、という方もいるでしょう。
しかし、治療を行うことでこれまで悩んでいた症状が緩和され、生活の質を挙げることも可能かもしれません。気になる症状がある方は、いちどクリニックで相談することを検討してみてはいかがでしょうか。


監修者

滝本 裕之

監修者 滝本 裕之

セロトニン活性療法協会 代表理事
ひろカイロ整体院 総院長

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